介護における尊厳の配慮が防ぐトラブル

介護が必要な高齢者の多くは、自らの老いを認めたくない、年長者として敬われたい、一人の人間として尊重されたい気持ちが強く、接する際には尊厳への配慮が不可欠です。これは高品質な介護のポイントとして認識されていますが、それ以外にも介護担当者自身を守る、リスク回避にもつながる、要着目ポイントなのです。
いわゆる赤ちゃん帰りが随所に見られる高齢者は、直感的な好き嫌いなどを理由に、一瞬で負の感情を募らせるため、注意が必要です。時に介護担当者のテキパキとした仕事すらも、尊厳への配慮を欠いていると誤解され兼ねず、こうした訴えが家族の耳に入るところから、無用なトラブルへと発展してしまうのです。近年メディアが報じている介護サービスに関係する、虐待や暴力行為の中にも、冷静に検証すれば、こうした誤解がキッカケである事例も想定され、介護の現場の最前線で従事する者としては、必ず踏まえておくべき注意点です。
こうしたリスクを回避する上で心掛けたいのが、相手との積極的な会話と心理状態の確認です。上手く会話のキャッチボールができなくとも、こまめにやさしく話しかけてあげれば、相手は自身の存在が認められていると、安心感を覚えるものです。また介護担当者からすれば、より効率の良い作業を心掛けて当然ですが、事務的な流れ作業と伝わってしまうのは問題となります。よく相手をみて、誤解から負の感情を抱かれぬよう、表情などから機嫌や心理状態を確かめましょう。そうすることでリスク回避の対応をする事ができるでしょう。